オンライン診療システムではどんなことができる?
オンライン診療では、インターネットのビデオ通信機器とシステムを使い、診断から支払いまでがスピーディーに行われています。医師の診断の後はそれを元に処方箋が書かれて、患者さんが最寄りの薬局で薬を受け取る、あるいは同じ病院から薬を送付することもできます。今回は、オンライン診療システムでできることを具体的にご紹介します。
オンライン診療のメリットとデメリット
オンライン診療のメリットはなんといってもスピードでしょう。まず、診断予約はインターネット上でできるため、病院の待合室で長く待つ必要はありません。また、ビデオ通信機器に自分の体を写せる場所であればどこからでも診察してもらえます。自宅のインターネットが充実していれば、そのまま自宅から一歩も外に出ずに診察してもらえることが可能になり、病院への行き来の時間、交通費もかかりません。医師に取っても同じことです。
インターネット環境さえ揃っていれば病院に出勤せずして自宅の居間で診療ができるのです。院内感染、二次感染という言葉に見られるように、病院でも感染症にかかる可能性があります。しかし、オンライン診療であれば、診療に関して感染症リスクはゼロといえるでしょう。こうした安心材料により、オンラインでの患者さんの数が増やせるというメリットがあります。
またシステムによっては医師と患者だけでなく、他の専門スタッフと接続して診断を行ったり、CT画像や検査画像を同時に見せて説明したりすることもできます。こうした点でも、従来にない診断ができるといっていいでしょう。デメリットとしては、ビデオ通信から得られる視覚、聴覚といった情報以外の、たとえば触覚や嗅覚を用いた従来の診察ができず、きめ細かな診察が難しいということです。
インターネットの扱いに不慣れな患者さん、または医師には最初は困難さを感じられる人もいるかもしれません。医師、患者双方に、初期の段階でオンライン診断のシステムになれるまでの時間も必要になってきます。システムによって導入費が高価な場合、費用を患者さんの診断費に上乗せするとそれを不満に思う人達がでるかもしれません。システムの使用法とともに、システム費の設定には細心の注意を払う必要があります。
オンライン診療の一連の流れと初診
ここで、オンライン診療の流れをご紹介します。まず、患者さんに診断の予約をしてもらいます。予約確認後、該当する時間になったらインターネット機器、パソコンやタブレット、またはスマホ上のオンライン診断アプリを開き受診します。診療が終われば、そのまま決済へと進みます。通常のネットでの支払いと同じく、クレジットカードや電子マネーなどで支払うことが可能です。
次に処方箋を処方しますが、多くの場合に電子文書の形で送信できます。それをもとに患者さんに最寄りの薬局で薬を購入してもらう、もしくは院内処方で病院から直接薬を郵送できます。
2020年四月より、オンライン診断での初診は認められています。しかし、まったくの過去の診断情報がないままで、さらに細かな診断が難しいオンラインで診断することにはリスクをともなう可能性があるので医師の判断にはできるだけ慎重な配慮が求められます。
システム導入に際しての注意点、チェックポイント
どんなに優れたシステムでも、現場のスタッフ、医師、また患者さんにとって使いやすいものでなければ長年運用することはできません。とくに患者さんには高齢の方や子どもも多くいるため、誰にでも簡単に使用できるシステムを導入しましょう。患者さんの立場になって、予約から支払いまで、スムーズに行えるシステムを取り入れることが大切です。
また、医師や医療スタッフから見ると、連携スタッフとの接続のしやすさ、電子カルテとの連携のしやすさ、診断情報の保存の容易さやセキュリティーの強固さなども判断条件となってきます。パソコンを持ってない患者さんやスタッフのためにも、現在流通しているたいていの端末で使用できるシステムが望ましいでしょう。
ビデオ通信がメインの診断になるため、鮮明な画像、音声、安定した通信が提供できるシステムかどうかも重要なポイントです。そのため本体のシステムのみでなく、マイク、カメラなど、優れた周辺機器への知識も必要になってきます。映像や音響設備への投資も考慮に入れるべきでしょう。
オンライン診断は2018には日本で認められ、導入されていました。しかしその当時はまだ対面診断の補助的なシステムで、もっぱら受診歴や主治医のいる患者さんのみが使用していました。近年になって状況が変わり、広範囲のシステム導入が可能となっています。ますます多くの患者さんがオンラインで診断を受ける流れになるでしょう。
オンライン診断には今までにないメリットがあります。以前のような触覚、嗅覚の判断を伴ったきめ細やかな診断はまだ難しいとしても、診断はよりスピーディーにでき、医療情報も頻繁に電子媒体で共有できます。パンデミックの影響で、より多くの患者さんが、病院での感染を怖れてオンラインを選ぶでしょう。
また、他の医療機関とも容易に連携ができるため、システム導入が遅れることはこのようなメリットを享受できないことにもつながってきます。このような状況変化に伴いさまざまなシステムが提供されています。